米国における無人航空機(ドローン)の目視外飛行(BVLOS運航)に対するレギュレーション案(Part108 NPRM)について
米国においては現在無人航空機(ドローン)の目視内運航に関するレギュレーション(Part 107)のみが制定されており、目視外運航に関しては個別に審査して許可を発行している。そのため、実際に運航するまでに時間がかかり、コストも非常に高く、無人航空機を用いた事業拡大の障壁となっている。
この状況の打破を目的として、無人航空機の目視外飛行に関するレギュレーション(Part 108)の制定が急がれており、2025年8月にPart 108の規則案(NPRM)が公開され、現在、パブリックコメントの集約中である。これらコメントに対応した最終版は2026年に制定予定である。
Part 108
Part 108は以下のSubpartに分かれている
・Subpart A General
・Subpart B Operating Rules
・Subpart C Operations Personnel
・Subpart D Permitted Operations
・Subpart E Certificated Operations
・Subpart F Maintenance and Alterations
・Subpart G Procedures for Unmanned Aircraft System Airworthiness Acceptance
・Subpart H Design and Testing Requirements for Airworthiness Acceptance
以下にPart 108 NPRMに記載された内容のうち、特筆すべき事項について概説する。
運航地域の人口密度に応じて5段階(Category)の要求事項を設定
人口密度が高い地域を運航する場合は、多くのリスク低減対策が求められる。ちなみに人口密度はオークリッジ国立研究所の「LandScan USA」のデータを用いて評価し、日本のDID地区の判定区分より細かいメッシュで規定されている。そのため、例えば市としては人口密度が低いが、主要駅周辺など局所的に人口密度が高い地域を飛行する場合にはPart 108では多くのリスク低減対策が要求される。
・Category 1: Farther than 1 status mile from any cell of 10 people or higher.
・Category 2: Within 1 statute mile of a cell of 10 people or higher, and not within a Category 3, 4 or 5 area.
・Category 3: Within 1 statute mile of a cell of 25 people or higher, and not within a Category 4 or 5 area.
・Category 4: Within 0.5 statute miles of a cell of 100 people or higher, and not within a Category 5 area.
・Category 5: Within 0.5 statute miles of a cell of 2,500 people or higher.
上記5つのCategoryと飛行する空域(下図参照A~E,G)に応じた衝突回避に関する要求を設定
戦略的衝突回避、飛行計画からの逸脱監視、非協調衝突回避(位置情報を発信していない他の航空機を回避する能力)の要求が各Categoryと飛行空域に応じて求められる。例えば、もっとも人口密度が低いCategory 1において、空域クラスがDだと戦略的衝突監視と、飛行計画からの逸脱監視が要求されるが、空域がGだとこれらの要求はない。
なお、どのようなCategoryや空域であっても、自己位置情報の広域発信能力とリモートIDの搭載は求められるので注意が必要である。

この他にもオペレータに関する要求事項などもある。
