東京ビッグサイトにて開催された「2024国際航空宇宙展」に行ってきました!
2024年10月16日(水)~19日(土)、東京ビッグサイトにて開催された「2024国際航空宇宙展」に行ってきました。
国際航空宇宙展は、国内外の主要企業、政府機関、大使館関係者、業界関係者が集結する、日本最大級の航空・宇宙の総合展示会です。航空・宇宙・防衛の製造、運航、整備に加え、UAM・脱炭素などの新分野を加えた、幅広い業種の企業が出展する、最先端の製品の情報を獲得できる貴重な機会でもあります。
前回、2021年の国際航空宇宙展は新型コロナウイルスの影響により中止したため6年ぶりの開催でした。展示会には、23 の国や地域から663 社・団体(共同出展含む)が出展し、4日間で37,000人以上の人が来場したとのこと。(2024国際航空宇宙展 websiteより引用)
近年、無人航空機やVTOL機等の機体開発、脱炭素に向けた新技術の開発競争が活発になっている中の開催だったため、無人機の展示や脱炭素関連の講演が多く見受けられました。
今回は、展示会会場の様子や展示物をいくつかご紹介したいと思います。
会場の様子
会場の中央にある大きなステージでは、終日様々なプレゼンが行われていました。
2階の約半分のスペースが海外ブースで埋め尽くされていました。目まぐるしく発展する海外の航空業界から、最新技術や製品を見て触れることができるとても貴重な機会でした。
余談ですが、Boeingのブースにとても面白いモニターが設置されていました。機体が描かれたガラスの立方体をはめ込むと、機体の紹介動画が流れる仕組みになっています。ガラスのように透ける素材が動画を移すモニターになる様子を見て、近未来の映画の世界を思い出しました。
ブース紹介 ~有人機編~
宇宙航空研究開発機構(JAXA)のブースには、開発中の機体の模型の他、様々な研究開発に関する展示がされていました。
こちらは、燃費性能の高効率化とCO2排出削減を目指す「航空機用MW級電動ハイブリッド推進システムの技術実証(MEGAWATT)」の模型です。カーボンニュートラルに向けた取り組みの一環として、航空機の電動化は各国の企業が研究開発を進めている分野です。電動化には、航空機の安全性、環境への配慮、基準の設定等、越えなければならない壁がたくさんあります。
こちらは、次世代超音速旅客機の実現の鍵となる「ロバスト低ブーム超音速機設計技術実証(Re-BooT)」の模型です。
パブリックイベントブースには、「はやぶさ2」の実物大模型や「火星衛星探査機(MMX)」の1/2模型が展示されていました。
こちらの「火星衛星探査機(MMX)」には、地表に弾丸を打ち込み表面を砕いて採取するサンプル採取装置が展示されており、とても興味深い展示でした。
SUBARUのブースでは、実際に飛行実証試験で使用している「AIR MOBILITY Concept」の実機が展示されていました。自動車と航空のコラボレーションらしいデザインで、プロペラは合計6枚あり、車の赤いテールライトのようなデザインが特徴的でした。
日本の航空会社、ANA、JALのブースです。最新の機体に採用されている座席(ビジネスクラス等)に座ることができる等、体験できる展示がいくつかありました。ANAのブースでは空飛ぶクルマ等のエアモビリティの取り組みも進めており、VRで飛行体験ができる展示もありました。
JALのブースでは、SAF(サフ)の取り組みが紹介されていました。家庭で使用された食用油を回収し、SAFを製造し、航空燃料として再利用する取り組みです。廃食油だけでは足りないので、現在使用している燃料と混ぜて使用するとのこと。
SAFとは、「Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃焼)」の略称であり、従来のジェット燃料が原油から精製されるのに対して、廃食油、サトウキビなどのバイオマス燃料や、都市ごみ、廃プラスチックを用いて生産されます。廃棄物や再生エネルギーが原料のため、従来のジェット燃料と比較して約60~80%のCO2削減効果があると言われています。航空分野では、CO2削減に最も効果が高いとされており、今後はSAFの利用が必要不可欠です。
今回の展示会でも、SAFに関する世界中の取り組みがブースや講演で多く紹介されていました。
ブース紹介 ~無人機編~
川崎重工のブースでは、現在実証実験を進めている無人ヘリコプター「K-RACER-X2」の実機が展示されていました。通常の無人機と比べるとかなり大きく迫力がありました。
K-RACERは、ヘリコプターの開発ノウハウとモーターサイクルの小型ハイパワーエンジンを組み合わせた機体で、最大200kgの重量物を100km離れた場所まで1時間弱で輸送することができるそうです。エンジンには、同社の二輪車「Ninja H2R」のレシプロエンジンを搭載しています。山間地や海上での物資輸送、災害時の支援対応を想定しており、危険で過酷な作業を人に代わり遂行します。
石川エナジーリサーチのブースでは、エンジンと電動のハイブリッドドローンである「Hybrid Flyer」、「Parallel Hybrid Flyer」が展示されていました。
「Hybrid Flyer」はペイロード5㎏、航続時間1.5時間を計画しており、開発中の「Parallel Hybrid Flyer」はペイロード60㎏、航続時間1.5hを計画しているとのこと。様々なタイプの機体開発が進むことで、ドローンの活躍する幅が広がりますね。
アラセアイザワ・エアロスパシアルの産業用無人機「AZ-250」と無人機専用エンジン「國男250」が展示されていました。
「AZ-250」の開発コンセプトは「All Weather & Long Duration」、豪雨にも耐える全天候型の機体で、ペイロード50g、航続時間は無積載で7時間、50kg積載で1時間とのこと。「國男250」は、高性能二輪車用エンジン技術を応用した小型・軽量・低燃費のガソリンエンジンです。
Softbankのブースでは、HAPS(ハップス)向けに開発中のソーラーパネルを搭載した無人航空機「Sunglider(サングライダー)」の10分の1スケールの模型が展示されていました。実際には翼幅78mもある大きな機体で、ペイロードは75kgまで可能とのこと。
HAPSとは、「High Altitude Platform Station」の略称であり、成層圏に位置する通信プラットフォームです。「空に浮かぶ基地局」と言われるHAPSは、一年を通して比較的風が穏やかな成層圏では安定した飛行が可能で、衛星に比べ地上との距離が近いことで低遅延かつモバイルダイレクト通信が可能となる、新しい技術です。
同社は、2024年10月に米国での実証実験において成層圏飛行に成功したことを発表しており、今後の開発に注目です。
ブース紹介 ~防衛編~
Airbusのブースでは、世界の陸軍、海軍の厳しい要件を満たすよう設計された多目的無人機「VSR700」が展示されていました。他にも、100~150席の旅客機「A220」や、A350をベースにした高い効率性を備えた大型貨物機「A350F」、汎用性の高い輸送機「A400M」などの紹介がされていました。
三菱重工のブースには、戦闘支援無人機や様々なタイプの無人機が展示されていました。
戦闘型の戦闘支援無人機は、高度なAIを搭載し、レーダーや武器を装備して戦闘機と連携しながら様々なミッションに対応できるというコンセプトの機体です。
ミサイル技術を転用した戦闘支援無人機の「ARMDC-20X」(下記写真)は、ミサイルのように使い捨てができるというコンセプトの機体です。「ARMDC」とは、「Affordable Rapid Prototype Missile Drone Concept」の略称であり、直訳すると「低価格高速プロトタイプミサイルドローンコンセプト」。
無人機は、固定翼タイプ、マルチコプタータイプ、シングルロータータイプ等、用途に合わせて様々な機体がありました。とにかく重いものを運ぶペイロード200kgのドローンや、航続時間2時間のパイブリッドドローン、VTOL型で滑走路のない場所や船の上に離着陸できるドローンなど、それぞれの強みを最大限生かした設計になっていました。
まとめ
日本や海外企業の最新技術を体感でき、今後の航空業界の未来を垣間見ることができました。
また、業界の発展に欠かせない技術の研究開発に携わっている、という責任と実感が沸き、より一層精進しようと感じました。
これからもAeroVXRの活躍を楽しみにしていてください。
今後もよろしくお願いします!